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会社案内
イギリスの工場経営者が、息子に会社を譲った翌朝、夫婦で工場内にある、 創業以来苦楽をともにした木製の机を前に向き合います。
1杯の紅茶で来し方を語り合ったのち、2人は始発の列車で 故郷に戻りました。以来、再び工場を訪れることはありませんでした。 出社した45歳の息子は、机の上におかれた1行の手紙を目にします。 「わたしはあきらめたことがない」-父が息子に残した言葉はたったこれだけでした。
しかし、この1行には、創業以来の万感の思いが込められていました。 この言葉は社是となり、会社の入り口に掲げてあるそうです。 イギリス人の日本文学研究者から教わった挿話です。 どんなに身軽に歩いているように見える人でも、心のどこかに重荷を背負っているものだ-といった人がいます。 一枚の写真に写っている経営者は細身で背が高く、温厚篤実で、屈託がない紳士にみえました。
「わたしはあきらめたことがない」と息子に残して故郷に戻った経営者です。 取材源は、経営者の姪にあたるイギリス人の日本文学研究者です。 年明け、大阪で再会しました。後日鐔です。後事を託した息子さんには障害がありました。 困難を背負いながらもよく奮闘され、業績を伸ばされたそうです。 無くなった父の葬儀で、実家に戻った息子さんは二通目の手紙を目にします。
それは、父の自室の机に彫り付けてありました。毎朝、彫りつけた文字に手をあてて念じていた 父の姿を母から聞きます。
Dear Son, Overcome Your Troubles and Reach for joy!とありました。 息子よ!悩みをのりこえて歓喜にいたれ!-社業を息子に譲って、亡くなるまでほぼ十年、思いものを心に抱いて 故郷で過ごした創業者の刻々の苦闘を感じさせます。
子を千尋の谷に突き落した獅子の故事を思い起こさせます。今、三代目が育ちつつあるそうです。
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